CD、レーベル:Hitorri、CD番号:hitorri-977、2020年12月発売。
1982年生まれ、東京在住の徳永将豪は、唯一無二の個性的な演奏を聴かせるアルト・サックス奏者 / 即興演奏家。Hitorri レーベルから、『Alto Saxophone 2』(2015年) と『Bwoouunn: Fleeting Excitement』(2017年) の即興演奏を収めた2枚のCDをリリースしている。次のソロ・アルバム制作にあたり、徳永は作曲作品に挑む計画を立てる。かくして、徳永は杉本拓に作曲を依頼することとなった。
ギター奏者の杉本拓は長らく作曲活動も続けてきて、現在では、欧米を中心に実験 / 即興音楽シーンにおける重要な作曲家のひとりと目されている。徳永の依頼を受けた杉本は、まず日本の音楽の音階に目を向け、その考察を踏まえたうえでアルト・サックスとサイントーンによる作品を書き上げた。さらにこの作曲では、差音 (ふたつの周波数の差の音が聞こえる現象) も杉本の目論みのひとつとなっている。
2020年7月27日、杉本立ち会いのもと、徳永 (アルト・サックス) はサイントーン担当の浦裕幸とともに、Ftarri で客を入れずに録音をおこなった。こうして生まれた約1時間の演奏は34分と26分の2曲に分けて、本CDに収録。全編、素朴で飾り気のない演奏が静かに続くが、そこに作曲における杉本の狙いと徳永の新たな挑戦への覚悟さえも聞こえてくるようで、非常に興味深い。杉本の手による長文解説 (日本語と英語) 付き。
価格:1500 円