CD2枚組、レーベル:Improvised Music from Japan、CD番号:IMJ-524/5、2005年6月発売。
2000年前後、杉本拓は演奏中ほとんど音を出さず無音が全体を支配する超寡黙ギタリストで、即興演奏家、作曲家として世界的に高い評価を得る一方、激しい賛否両論を引き起こす音楽家だった。本作は彼が2003年9月にオーストラリアでおこなったライヴ演奏 (彼自身の作曲作品) 2曲を、各ディスクに1曲ずつ収録したCD2枚組。杉本のライヴ演奏では、観客の咳や足音、イスを引きずる音、会場の外から漏れてくる音など、周囲で起こる様々な音が否応なしにはっきりと飛び込んできて、たまに発せられる杉本のギター音とあたかも共演しているかのような状況を生み出す。本作でもそれは明らかだが、特に Disc 1 では、始まってすぐに降り出した通り雨が次第に激しさを増して、ホワイト・ノイズのようにザーッという音で全体を埋め尽くし、そのノイズをバックに杉本が短音をそっとつま弾くというハプニングが記録されている。杉本の音楽観をよく反映した彼自身の筆による3,000字を超える長文のライナー・ノートも収載。杉本拓の音楽を知る絶好の1枚であるばかりでなく、即興音楽や作曲のあり方への問題提起となる重要作。
特価:2000円 (通常価格2500円のところ)