CD、レーベル:Meenna、CD番号:meenna-976、2019年4月発売。
フランスの Bruno Duplant は、現在の実験音楽シーンにおいて、最も注目を集める音楽家のひとりである。近年、優れた作曲作品を多く発表し、世界中のレーベルから良質のリリースが相次いでいて、その質量共に旺盛な活動には目を見張るものがある。
本アルバムには、Duplant が作曲したふたつの作品を収録。演奏はどちらの曲も、米国、ボストンを拠点に活動する演奏家 / 作曲家、Morgan Evans-Weiler が率いる Ordinary Affects。Christian Wolff、Antoine Beuger、Michael Pisaro、Jurg Frey、赤間涼子をはじめ、現代の作曲家の作品演奏に定評のある実験音楽アンサンブルである。1曲目 (21分) はクインテット、2曲目 (26分) は弦楽カルテットによる演奏で、メンバーは、Laura Cetilia (チェロ)、Jordan Dykstra (ヴィオラ)、Morgan Evans-Weiler (ヴァイオリン)、J.P.A. Falzone (フェンダー・ローズ、1曲目のみ)、Luke Martin (ギター、1曲目のみ)、Ashley Frith (ヴィオラ、2曲目のみ)。
両曲とも、非常に抑制の効いたゆったりとしたテンポの演奏が最後まで続く。その音の重なり合いや連なりは夢幻的で、聴き手をそっと放心状態へと誘うかのよう。しかし演奏自体は終始、緩慢に堕することなく緊張感を失わない。Bruno Duplant の作曲家としての才能と個性、Ordinary Affects の演奏の素晴らしさ、そのどちらも堪能できる名盤。
価格:1500円