三味線/エレキ大正琴/声
東京芸術大学・同大学院修士過程にて音楽学専攻。文楽の人間国宝・故4世野澤錦糸に義太夫三味線、女流義太夫の人間国宝・竹本駒之助に義太夫節を師事し、昭和の名人と謳われた故・四世竹本越路太夫預り鶴澤悠美を名乗る。1990年度芸術選奨文部大臣新人賞。93年、財団法人清栄会奨励賞受賞。99年日本音楽コンクール委員会特別賞受賞。2006年ACC (アジアン・カルチュラル・カウンシル) グランティー、2008年度文化庁海外研修特別派遣により、ニューヨークにてパフォーミング・アーツの研修をおこなう。2009年、義太夫節保存会会員として重要無形文化財総合認定。
三味線を中心に、国内外における即興演奏、現代音楽作品の演奏、シアター作品や映画音楽の作曲・演奏など、実験的で多彩な表現活動をおこなう。胡弓、箏、エレクトリック大正琴、MIDIコントロール楽器、声の表現も含めて、日本の音世界とその美学を再発見・再利用するミッションを遂行している。
伝統音楽や現代音楽を出発点に、実験音楽シーンにおける即興演奏や特殊音楽に新天地を見出し、これまでに、カール・ストーン、ジョン・ゾーン、ネッド・ローゼンバーグ、エリオット・シャープ、ジョン・ラッセル、ジム・オルーク、アクセル・ドナー、高橋悠治、佐藤允彦、坂田明、梅津和時、清水靖晃、菊地成孔、灰野敬二、大友良英、内橋和久、山本精一、吉沢元治、豊住芳三郎、一楽儀光、吉田達也、芳垣安洋、巻上公一ほか、国内外のミュージシャンと共演。
シアター作品では、ハイナー・ゲッベルス演出による音楽劇 "Hashirigaki" (エジンバラ・フェスティヴァル 2001 で Herald Angel Award を受賞) 世界ツアー (2000年、シアターヴィディ・ローザンヌ初演〜2008年) にて、演奏およびアクトをおこない、ニューヨークのジーニアス・プライズ受賞アーティスト、バジル・ツイストによる舞台作品 "Dogugaeshi" (2004年、ジャパン・ソサエティー初演) では、音楽監督および演奏をおこない、同作品は The New York Innovative Theater Award、The Bessie's New York Dance and Performance Awards を受賞。これまでに日本公演、北米公演、イギリス公演、フランス公演を重ねている。
現代音楽シーンでは、柴田南雄、入野義朗、林光、間宮芳生、三木稔、諸井誠、高橋悠治、北爪道夫、三輪眞弘、野村誠、新垣隆などの作品を演奏。2009年の Spoleto Festival では、現代曲や即興によるソロ・コンサートをおこなった。
2010年12月にアサヒアートスクエアでおこなわれた『ミュージック・パフォーマンスたゆたうた』では、音楽、ダンス、アクト、映像、照明、人形などのメディアを融合したマルチディシプリナリーな舞台作品を発表。ACCおよび文化庁海外研修特別派遣の研修成果を発表し、2017年にDVDをリリース。2011年、ニュー・ジャーマン・シネマの鬼才ウルリケ・オッティンガー監督による映画 "Under Snow" に出演し、三味線を演奏。映画音楽担当。2012年3月、東北民俗芸能、鬼太鼓座、梅津和時、おおたか静流ほかと、国際交流基金主催・東日本大震災追悼演奏会米・仏・中巡回公演に参加。2014年〜15年、日本のノイズ音楽、即興音楽、メディア・アートなどのエクスペリメンタル・シーンを海外に紹介する "multipletap" に参加し、ロンドン、パリ、メキシコなどで演奏。2014年11月、ニューヨークのジャパン・ソサエティーでおこなわれた、ジョン・ゾーンのキュレーションによるフィルム・シリーズにて、衣笠貞之助『十字路』の映像に合わせて即興演奏し、「三味線音楽の真髄」公演にて竹本駒之助の三味線を演奏。2016年に発表された、ムージャ・マライーニ・メレヒ監督のドキュメンタリー映画 "Haiku on a Plum Tree" のために演奏・撮影された音源が、坂本龍一作曲のサウンドトラック楽曲にミックスされた。2019年7月、国立劇場おきなわにて三味線弾き語りによる現代浄瑠璃「きよひめ」発表。声明の新井弘順と共演。
Ftarri、Hitorri、Meenna、Improvised Music from Japan レーベル
田中悠美子 参加CD、DVD