Ftarri / Ftarri Classical

木下正道

アンデルセン白鳥の歌

CD
ftarricl-665
限定250部
2021年9月12日発売
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  1. アンデルセン白鳥の歌 [バリトンとフラウト・トラヴェルソのための] (41:34)

    mp3 excerpt: track 1

作曲:木下正道 (2011年)
詩:宮澤賢治「アンデルセン白鳥の歌」
「渡瀬英彦 フルート・ソロ・リサイタル "Sonorous Solitude" (鳴り響く孤独)」委嘱作品

渡瀬英彦:フラウト・トラヴェルソ
上江法明:バリトン


この曲は2011年に、image/air_ (細越一平) 企画の演奏会「渡瀬英彦 フルート・ソロ・リサイタル "Sonorous Solitude" (鳴り響く孤独)」の委嘱作品として作曲いたしました。条件は「できるだけ長い曲で、バリトン (上江法明) とフラウト・トラヴェルソ (渡瀬英彦) のためのもの、歌詞は自由」でした。フラウト・トラヴェルソは簡単に言ってしまうと今のフルートのご先祖様にあたる楽器です。それでまず渡瀬さんに楽器の特徴について色々教えてもらいました。普通のフルートとはかなり違うその特性にとても関心が湧き、作曲においてはその利点を積極的に活用しました。特に一つの音が細波のように微かに揺れる奏法を多用しています (これは普通のフルートでも可能ですが、トラヴェルソの場合、より素直で深い味わいが出ると思います)。

歌詞については、ちょうどこの年は東日本大震災があったことも鑑みて、「海」をテーマにしたものにしたいと思っていたところ、宮沢賢治の若い頃の連作短歌「アンデルセン白鳥の歌」を見つけました。この短歌はハンス・クリスチャン・アンデルセン「絵のない絵本」所収の「第28夜」に基づいて詠まれています。一羽の白鳥が、旅の疲れからか月明かりの照らす夜の海に降りて暫し浮かんだ後、陽の昇るのをきっかけに再び旅立つまでを、月の視点から書かれた短い物語です。音楽はフラウト・トラヴェルソの長大な独奏とそれに挟まれるバリトンの歌によって、おおまかにこの情景を描写していますが、音と言葉の絡み合いをそれ自身の力として探求することも主眼であります。そして日常からほんの少し歪んた空間を現出し、まさに白鳥が横たわる海のような、憩いと恐れがない交ぜになった、普段は見えない場所を、触知するきっかけになってほしいと願い、この曲を作曲いたしました。

初演してくださった上江法明さんは、惜しくも2015年に他界されました。このCDは法明さんの思い出に捧げられます。(木下正道)


現代音楽の作曲作品に特化した Ftarri のサブレーベル Ftarri Classical の第二弾は、木下正道の作曲作品。木下正道は1969年、福井県大野市生まれ、東京在住の現代音楽作曲家。作曲以外にも、電気機器による即興演奏や、コンサート企画もこなし、精力的に活動している。東京、水道橋の Ftarri への出演も続けていて、木下正道 / 多井智紀 / 池田拓実 / 原島拓也『電力音楽演奏会 Electric Powered Music Concert』(meenna-877) と、木下正道『Ftarri のハルモニウム』(meenna-873) という、Ftarri でのライヴ演奏を収録した2枚のCDをリリースしている。

2011年、木下正道は、渡瀬英彦のフルート・ソロ・リサイタルの委嘱作品として、「アンデルセン白鳥の歌」(バリトンとフラウト・トラヴェルソのための) を作曲 (歌詞は、宮沢賢治の連作短歌「アンデルセン白鳥の歌」に拠る)。本アルバムには、翌年2012年12月東京の教会における、渡瀬英彦 (フラウト・トラヴェルソ [フルートの前身楽器]) と上江法明 (バリトン) のふたりによる41分の演奏を収録している。なお、上江法明は2015年に他界。このCDは彼の思い出に捧げられた。


Last updated: September 10, 2021

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