CD
hitorri-974
限定250部
2022年9月4日発売
価格 1,500 円 + 税
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村山政二朗:シンバル、ハイハット、バス・ドラム、スネア・ドラム、ヴォイス、小物
スネア一個とシンバル一枚によるミクロな音色とパルスの探求から、よりマクロなシンバル・タム抜きのドラム・セットによる演奏へ移行を試みはや数年、しかもその歩みは遅々としたもの。この移行の必要性を思い立ったのはノンイディオマティックとイディオマティック両方を使うインプロが見えてきたというのが表向きの理由(本当の理由は丈夫な体のため)。その両方があった方が面白くなる。コインの両面。
叩くということをこれまで長い時間かけて人は積み上げてきておきながら、いつしか、その進歩の歩みは止まってしまっているのでは? 情報をベースにしたデモンストレーションとしてのドラミング、それではあまりにも悲しい。
それはさておき、初心に帰ってコツコツやりたいと思うわけです。コツコツから始めず、インプロに即ハマった身としては。そして、このコツコツ(ルーディメント)こそ、ノンイディオマティックを体感するためのベストなテクニックです。もちろん、功利性追求のためにそれをそのまま組み合わせて演奏に使う、そんなことはしません。あくまでもインプロの手段です。曲を演奏するためでもない。インプロをやりたいがどう始めていいかわからない人がたくさんいます。それはインプロで重要なのは次に何をするかを決断することであるという勘違いのためです。
あいにく、このCDには自分の作業の新しい成果は入っていません。空間をどう使って演奏するかというのが、この録音のテーマです。基本は聴く > 音を出すという演奏(というか、これ以外のやり方でインプロにおいてエゴの問題を解決できるのでしょうか? もちろんこの演奏もその問題は解決されていません)。
自分が試したところでは、音量も控えめにして、音源からできるだけ離れて聞くのが良いという印象です(あるいは空間が感じられるのに適した距離を探す)。空間的な距離が取れない場合は、その分を音量を下げることである程度補えるかと思います。当然ですが、聴いた印象はケース・バイ・ケースで違うでしょう。そしてもちろん、聴き方は各人の自由です。(文:村山政二朗)
フランス、パリ在住のドラマー / パーカッショニストで即興演奏家 / 作曲家の村山政二朗が、Ftarri の3つのレーベル Hitorri / Ftarri / Meenna から初めてCDをリリースしたのは2009年。それ以降、ソロ、デュオ、トリオ、カルテットの編成で、全12タイトルのCDリリースがある。そのうち、ソロ・アルバムは2017年の『Downdate』が最初で、『The Empire of Slip of the Tongue (または湿原の帝国)』(2018年)、『みたい (mi-tai)』(2020年) と続いた。最初の2タイトルはエレクトロ・アコースティックな作品だったが、『みたい (mi-tai)』はパーカッションとヴォイスによる即興演奏のアルバムだった。
Hitorri レーベルからのソロ第四作となる本アルバムは、前作に続き即興演奏集。2022年1月、スロヴェニアのリュブリャナで録音した全7曲 (各4分〜11分) を収録。村山は、シンバル、ハイハット、ベース・ドラム、スネア・ドラム、ヴォイス、各種小物を使用。前作『みたい (mi-tai)』と共に、個性極まりない即興演奏家としての村山の今を知る最良のアルバム。