Ftarri / Meenna

Common Objects

Skullmarks

CD
meenna-980
限定600部
2018年11月11日発売
価格 1,800 円 + 税
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  1. Skullmarks (36:48)

    作曲:John Butcher
    Common Objects による即興演奏

    mp3 excerpt: track 1 (part 1)
    mp3 excerpt: track 1 (part 2)

Common Objects
John Butcher: soprano and tenor saxes
Angharad Davies: violin
Rhodri Davies: electric harp
Lina Lapelyte: violin
Lee Patterson: amplified devices and processes
Pat Thomas: electronics


Common Objects (コモン・オブジェクツ) は、英国のハープ奏者 / 作曲家の Rhodri Davies が2005年に結成したグループ。メンバーは流動的だが、最近では John Butcher、Angharad Davies、Lina Lapelyte、Lee Patterson、Pat Thomas、Rhodri Davies の6名での活動が多く、本アルバムもこのメンバー構成となっている。作曲作品から即興まで幅広い演奏をおこなう Common Objects だが、本アルバムには、スコアとしてオブジェを使用するという、彼らにとって初の試みが記録されている。

2016年に Common Objects は3つの博物館を会場に選び、"Sonorous Matter (響き渡る物質)" と題したミニ・ツアーを実施。博物館の収蔵品から、6人の各メンバーがスコアとなるオブジェを選び、それに基づいて演奏をおこなった。本アルバム収録の "Skullmarks (スカルマークス)" は、John Butcher がオブジェを選んだ作品。2016年3月22日、オックスフォードのピットリバース博物館 (Pitt Rivers Museum) の膨大な民俗学コレクションから、Butcher はアメリカ先住民のマスク (面) など歴史的オブジェを4点選び、それらは演奏者も聴衆も見えるように配置された。かくして、シャーマニックなオブジェと夜の博物館がもたらす一種異様な雰囲気に満たされた当夜のコンサートは、独特のオーラとエネルギーをまとった希代の名演を生み出した。


ライナー・ノート

SONOROUS MATTER (響き渡る物質)

Common Objectsは2005年、LMCフェスティバルでのコンサートシリーズのために私が結成した。当初メンバーは流動的だったが、近年はこの6名のミュージシャンで落ち着いている。このグループを始めて以来ずっと考えていたのは、オブジェを即興演奏のインスピレーションに使うことだ。過去13年で、半構造作品、図形譜やフリー即興を扱ってきたが、オブジェをスコアとして使用するのは初めてのこと。即興演奏に使う道具もだが、私は楽器と即興者の関係にも関心を持っている。ミュージシャンは楽器との間に絆を築き、楽器に人格を見出すことも多い。私自身は演奏で使う道具たちに愛着がある。理由は様々で、人から贈られたものであったり、かつて共に演奏した仲間を思い出させてくれたりするからだ。時を経て、楽器やモノも人間の身体と同じように、傷つき、がたつき、そして様々な思い出までも携えるようになる。

2016年、Common Objects は "Sonorous Matter" と題したミニツアーを行った。会場は、ピットリバース博物館、マンチェスター博物館、そしてダラム大学のオリエンタル博物館。準備のため、私たちは3つの博物館のコレクションについて時間をかけて調べ、向き合った。収蔵品は当然、イギリス植民地主義の歴史と縁があり、その中からグループで演奏する新しいスコアの、テーマとなるオブジェを選び出した。生まれたのはメンバーそれぞれによる6つの作品だ。Lee Patterson『Five Objects』、Angharad Davies『Sounds Outwith Objects』、 Rhodri Davies『JADE』、 Lina Lapelyte『Gold & Mirrors』、 Pat Thomas『FOR GEORGE SALIBA』、そして John Butcher『Skullmarks』。

ピットリバース博物館でのコンサートでは、"Objects Uncommon and Instruments of Non-Existence (非凡な物体と非実在の楽器)" と題し、David Toop によるプレトークが行われた。『Cup and Ring』 (AV フェスティバル14、ニューカッスル・アポン・タインにて、CD『whitewashed with lines』 に収録) と同様、『Skullmarks』 のパフォーマンスは興奮みなぎるものであった。夜のピットリバース博物館の不気味な雰囲気。そして、いわく有りげかつシャーマン的なエネルギーを宿した、ジョンが選んだオブジェ。それらに拠るところが大きいだろう。ツアーの計画中、Oskar Fischinger が John Cage と行った対談について読んだ。彼によると、この世界にあるモノひとつひとつには精霊が宿っているという。そして、その精霊を解き放つためには、モノに軽く触れて、音を引き出せばよいのだと。今回の収録がその可能性の実現につながることを望む。

ロードリ・デイヴィス

SKULLMARKS (スカルマークス)

50万を超える神秘的な民族学コレクションが収蔵された、広大なピットリバース博物館内。『Skullmarks』 はここで演奏された。私は4つのオブジェを選び、ミュージシャンと聴衆に見えるよう展示した。注目を集め、音楽のための空気をつくるためだ。

木、骨や粘土でできたこれらのオブジェは、水、空気、大地、精霊、儀礼とその力を想い起こさせる。

博物館の広大な中央スペースと上層ギャラリーに配置されたミュージシャン同士の、多彩な組み合わせがスコアによって創り出された。本質的な何かを想起させ、豊かな音の広がりを実現する。それは究極的に共鳴するアコースティック音から、環境の影響を受けない電子音まで――博物館の建物自体が、第5のオブジェとして考えられるべきであろう。

オブジェの写真はこちらからご覧いただきたい。johnbutcher.org.uk/skullmarks.html

ジョン・ブッチャー

翻訳:Megumi Sakata


Last updated: November 8, 2018

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