Ftarri / Ftarri Festival 2015

John Butcher(ジョン・ブッチャー)

Photo © Fabio Lugaro

テナー・サックス / ソプラノ・サックス

1954年、英国生れ。物理学の研究と平行して演奏活動を始めたが、82年に学界を離れ、以来、フリー・インプロヴィゼーション・シーンを渡り歩いている。これまで、フィル・デュラント、ジョン・ラッセルとのトリオ、SME、Polwechsel、The Contest of Pleasures などに参加し、デレク・ベイリー、フレッド・フリス、ジェリー・ヘミングウェイ、鈴木昭男、大友良英、中村としまる、クリスチャン・マークレーらと共演してきた。また、クリシェを排した奏法の拡張により、独自の「声」を獲得したサックス奏者のひとりであるが、その一方で、アンプリファイ/フィードバックの導入、多重録音、サイトスペシフィック・ソロに取り組むなど、飽くなき探求を続けている。Ftarri レーベルからは、ハーブ奏者のロードリ・デイビィスとのデュオ・アルバム、『Carliol』(2010年) と『Routing Lynn』(2014年) の2作品をリリース。また、ソロ・アルバムの代表作として、2015年に Uchimizu Records よりリリースされた『Nigemizu』がある。

「ジョン・ブッチャーは、改めて書くまでもなく、現代のサックス奏者で最も優れたひとりで、技術的にも創造性においても楽器演奏における表現の限界を拡張し続けている偉才だ。エヴァン・パーカー以降、多くの奏者が試みる循環呼吸法やマルチフォニックといった特殊奏法を用いた演奏は、テクニックの披露に陥りがちである。しかし、ブッチャーの場合は違う。長年に渡るサウンドの探求、奏法の開拓によって培ってきたそれは、テクスチャーさえも微細に変化させ、ミクロからマクロまで人並み外れたバリエーションを持つ。そして、尽きることなく湧き出でる想像力が音楽的な奥行きと豊かさを与えているからこそ、イマジナリーで色彩豊かな世界が奏でられるのだ。その煌めく音粒子は捉える間もなく変化し、アルバムタイトル「Nigemizu(逃げ水)」のように消えてしまうが、ブッチャーの万華鏡的音世界は耳の奥深くに記憶される。その演奏の場に立ちあうことは、またそれを聴くのは至福のひとときなのである」(横井一江による『Nigemizu』のライナーノートより抜粋)

http://www.johnbutcher.org.uk/(英語)


Last updated: November 7, 2015

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