義太夫三味線 / エレキ大正琴 / Shaminome / 語り / うた
東京芸術大学大学院修士課程にて音楽学専攻。文楽の人間国宝故4世野澤錦糸に義太夫三味線、女流義太夫の竹本駒之助に義太夫節を師事。1990年度芸術選奨文部大臣新人賞。鶴澤悠美として09年義太夫節分野で重要無形文化財総合認定。現代音楽作品の演奏、即興演奏、シアター作品の作曲・演奏・アクト、演芸パフォーマンスなど、国内外でさまざまなシーンに参入し、多彩な表現活動をおこなう。
共著『まるごと三味線の本』、『schola vol. 14:日本の伝統音楽』ほか。プリペアド三味線のソロCD『Tayutauta』。2006年ACC助成、08年度文化庁海外研修特別派遣により NY で研修。元兵庫教育大学准教授。現在京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター共同研究員。
1991年に仙波清彦の「はにわオールスターズ」、1994年に「John Zorn's Cobra 東京作戦」、1995年に大友良英の Ground-Zero に参加し、実験音楽シーンにおける即興演奏に融通無碍な境地を見出し、これまでカール・ストーン、ジョン・ゾーン、ネッド・ローゼンバーグ、エリオット・シャープ、ジョン・ラッセル、ダンレザルブル、ジム・オルーク、坂田明、梅津和時、菊地成孔、灰野敬二、内橋和久、山本精一、一楽儀光、吉田達也、芳垣安洋、巻上公一、七尾旅人ほか、内外のミュージシャンと共演。即興音楽のみならず、多岐にわたるコラボレーションは、三波春夫、石川さゆり、デーモン小暮などの歌手、コンテンポラリー・ダンサー、能・狂言・歌舞伎役者、落語家、声優、セクシー女優、コント芸人にまで及ぶ。
現代音楽シーンでは、入野義朗、林光、間宮芳生、三木稔、諸井誠、高橋悠治、北爪道夫、三輪眞弘、野村誠、川島素晴、新垣隆、鶴見幸代などの作品を演奏。
シアター作品では、ドイツの国民的作曲家ハイナー・ゲッベルスの "Hashirigaki"、NY を拠点とする人形遣いの寵児、バジル・ツイストの "Dogugaeshi" に出演し、各国のフェスティバルで演奏・アクトに対し高い評価を得る。
そのほかのユニークな参画活動としては、ボーカリスト三橋美香子のエクスペリメンタルお笑いカバー・バンド「キッチンドリンカーズ」、新垣隆など現代音楽の作曲家たちによる作品を演奏した、高橋悠治・高田和子のアンサンブル「糸」、フォルマント兄弟(三輪眞弘 & 佐近田康展)による音声合成キーボード作品「NEO都々逸」、マルチディシプリナリーな自作自演シアター作品「ミュージック・パフォーマンス 'tayutauta'」、野村誠との共同作品「だじゃれ音楽第六番 千寿万歳」、コムンゴのホ・ユンジャン、中国琵琶のミン・シャオファンとの日中韓弦楽器トリオ、デーモン小暮の「邦楽維新」、坂田明の「平家物語」など。義太夫三味線のみならず、エレキ大正琴、'Shaminome' も演奏し、三味線の音世界を出発点としながら、その表現は多彩かつ茫洋としている。
2012年3月、東北民俗芸能、鬼太鼓座、梅津和時、おおたか静流ほかと、国際交流基金主催・東日本大震災追悼演奏会 米・仏・中巡回公演に参加。
2013年秋には、バジル・ツイストの "Dogugaeshi" 北米ツアーに参加し、NY のジャパン・ソサエティー、LA の RedCat、CAの CAL performances などで公演。また、サン・ディエゴのラホヤ海岸から巨大なヴィーナスが出現する新作 "Seafoam Sleepwalk" の音楽を演奏。NY の Here Art Center で、自作の「ミュージック・パフォーマンス 'tayutauta'」をおこなう。
2014年2月より、日本のノイズ音楽、即興音楽、メディア・アートのアーティストたちが繰り広げる混沌としたエクスペリメンタル・シーンを紹介する "multipletap" に参加し、ヨーロッパ、中米などで演奏を展開。同年11月後半には NY のジャパン・ソサエティーで、ジョン・ゾーンのキュレーションによるフィルム・シリーズにて、衣笠貞之助『十字路』上映に合わせた即興演奏を、「三味線音楽の真髄」と題した公演にて、女流義太夫の人間国宝・竹本駒之助の三味線を演奏。