CD
ftarri-885
限定180部
2020年9月6日発売
価格 1,500 円 + 税
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Per Oddvar Johansen (右)：スネア・ドラム、ほか
村山政二朗 (左)：スネア・ドラム、ほか
Per Oddvar Johansen はノルウェーのドラマー。主にノルウェーのコンテンポラリージャズのミュージシャンと演奏、数度の来日があるが、彼の3つのソロのリリースをチェックする人はまずいないはず、北欧ジャズ＝ECM系で片付けて。初期の Earth Wind and Fire を知らないでEWFを語るのと同様の「市場のイドラ」。
蛇足だが、ノルウェーのドラマーといえば、Jon Christensen が71年に Sonny Rollins と演奏したときのソロをまず思い出す。(イディオマティックなジャズのフォームの中でフリージャズとも違うパルス的アプローチをしている。パルスについて参照すべきは、大雑把に Sunny Murray から始まり、ICPのころの Han Bennink、Milford Graves、Stu Martin、Sven-Åke Johnasson の必聴LP Schlingerland)。
このあたりを「押さえてきた」、ジジイのドラムバカ二人が2019年7月ノルウェーのJohansen 宅で敢行したのが今回の録音。当然、マニアックな世界。ある程度同じ方向性の二人が、各自、スネア一台を使用し、同じようなことをやっているという、何の利点があるのかわからない地味な代物。これは売れませんよとも言われた。
インプロの演奏を簡単にリリースするのはどうなのかという意見にも十分同意する。それでも、全体の音の鳴り方を考えるところから、用意して即興演奏を始めるようになったら、終わりだよ。他方で即興音楽というジャンルの一人歩きを平気で見ているわけにもいかない。つまるところ、演奏者の固有性ですよね、間さん (エリックドルフィー論)！ これが、私個人の昔から変わらぬ見解で、特にそうした問題を考えるには役に立つ (繰り返し聞ける、そのための短さかな) 音源と思います。(文：村山政二朗)
Per Oddvar Johansen は1968年、ノルウェー、オスロ出身のジャズ・ドラマー。ノルウェーのグラミー賞にあたる Spellemannsprisen をこれまでに6度受賞。80作以上のアルバムに参加する、ノルウェーを代表するドラマーのひとり。最近では、2018年5月に自身のトリオで来日している。一方の村山政二朗は、Ftarri ではお馴染みのフランス、パリ在住のドラマー / パーカッショニスト。Ftarri、Hitorri、Meenna レーベルから、ソロと共演作合わせて多くのリリースがある。
本CDには、2019年7月にノルウェーで録音したデュオ演奏、5分から10分の全8曲を収録。6曲は即興演奏、最後の2曲のみ作曲作品。ふたりとも、スネア・ドラムに小物やシンバルを組み合わせた非常にシンプルなセットを使い、音数、音量ともにかなり抑制が利いている。ヴェテランの域に達するドラマーがふたりしてコトコト、ガチャガチャ、シュワシュワ、チャリーン、似たようなことをやっていて、演奏しているというよりも音を出していると言うべきか。ドラマーふたりの共演なのに、いつくもの打音がひとかたまりになって飛び込んでくることなく、ひとつひとつの音の聴き分けが可能なくらい。もちろんそのような演奏においても、彼らの技巧や音楽性は失われることなく明白だ。ドラマーの共演と聞いて一般に連想するものからは大いにかけ離れた、次元の異なる魅力に満ちたアルバム。
